会長日記





↑↑
☆春秋会の日々の活動を
         
更新しています☆

BOOOK紹介 月の裏側

※新規ウインドウで開きます PDF印刷Eメール

月の裏側

月の裏側

記憶、意識の不確かさ




 月の裏側 


九州のとある水郷都市で、三件の老女連続失踪事件が起きた。しかし、三人とも数日後にひょこりと戻ってくる。失踪している間の、記憶を失ったまま。

事件に興味をもった主人公達は、やがて「人間もどき」の存在に気づいていく。

町に流れる堀川の水に起因する何ものかに「盗まれた」人々は、「人間もどき」になって戻ってくる。その間の記憶がなくなるだけで、それ以前の記憶も、その後の記憶も確かなまま、外見上も何一つ変化がない。

ただ、火葬した時、骨がタールのようにどろどろになることを除いて。そして、一度「盗まれた」者は、二度と取り込まれることはない。

一人、また一人と町の人々が居なくなり、数日後には戻ってくる。そしてある朝、主人公達4人を除く全員が町から消えた。はたして次は誰の番か?

しばらくして「盗まれた」町中の人々が戻ってくる。一人、長靴を履かされた主人公を除いて。

「人間もどき」になるということは、どんな気分でどんな意味を持つのか。たった独り取り残され、自分が「盗まれた」のかどうかさえもはっきりしない。

記憶、意識が「確か」なこと、事象を人間の考えだけで確かにすることは、よりよく生きることに、絶対に必要な条件なのか?考えさせられる小説だった。


『月の裏側』
【著者】恩田 陸【発行】幻冬舎【定価】¥680(税込)